空転日記

はばかりながら はばかる

この世界の片隅に~夫婦について考えた

両親が見合い結婚だったと知ったのは数年前のことだ。たしかに僕が子どもの頃、両親の関係は、どこかよそよそしいと感じていた。あまり本音で物を言わず淡々しているし、夫婦げんかしても険悪な空気になるだけで、お互い言いたいことをグッとこらえていた。粛々と子供を育て、教育を受けさせ、家を維持してきた。そして僕ら子供も独立し、今では夫婦だけでそれなりに仲良くやっている。僕からみてもいい夫婦だ。

そしてアニメ映画「この世界の片隅に」の主人公すずさんの結婚の経緯は、今では考えられないものだ。家同士の話し合いであっという間に結婚が決まり、いきなり見ず知らずの家に嫁ぐ。夫の周作は子供のころのすずを知っていたのだが、すずさんにとっては赤の他人だった。すずは敷かれたレールを進むだけで選択肢はない。意見も言えないし言う必要もないという感じだ。どこかぎこちない夫婦のまま物語は進む。戦争が激化し、原爆が落ち終戦を迎え、終盤で悲劇を乗り越え、夫婦はお互いを思いやるいい関係になる。まず夫婦になってから恋人になる。うちの親もそうかもしれないと思った。

僕は結婚して別居して離婚して父子家庭となった。自由な恋愛を経て夫婦となったが上手くいかなかった。自由だとレールは自分たちで敷かなければならない。これがしんどい。結婚するのも自由なら離婚するのも自由。

夫婦になるとき不自由で選択肢がないほうが余計なことを考えなくていい。所詮他人同士なのだからあらかじめ敷かれたレールの上を走るほうがいいのかもしれない。僕の両親や「この世界の片隅で」をみるとそう思う。自由のほうがつらいのだ。