今敏監督のアニメ映画「パプリカ」を観た。10年以上前の映画なので多少古さは感じるが、素晴らしく面白い映画だった。
特に音楽が素晴らしかった。伸びやかなボーカルの主題歌に印象的な劇伴。クレジットには「音楽 平沢進」と記されているが……誰ですか?
調べてみると、P-MODELというテクノポップバンドを率い80年代から活躍するベテラン音楽家と分かる。インターネットを駆使した先進的な「インタラクティブライブ」を開催したり、ソーラー発電による電力のみでアルバム製作&ライブをしたり、タイのニューハーフ(平沢進はSP-2と称している)に影響を受け音楽制作したり、JASRACのやり方に疑問を持ち大手レコード会社から撤退、いち早くインターネットによる楽曲配信を始めたり……。しかもオフィシャルウエブサイトではパプリカの主題歌「白虎野の娘」など多数のの楽曲が無料配信しているではないか!20年時代を先行し、追いつくひとはいない。
こんなすごい人がいたのか…?似ている人がまったくいない。しかもツンデレキャラでツイッターやってる!自称は「ステルス」だ!
そこからCDを集めパソコンに流し込みiphoneのライブラリは平沢進であふれ、通勤時間は平沢進を聴くための時間になった。
アルバム1枚ごとにリスナーに媚びない難解で奥深いテーマがあり、変幻自在のボーカル、刺激的な打ち込みサウンド、哲学、宗教、科学に裏打ちされた深い歌詞などに打ちのめされる。その世界観の、地球を外から俯瞰して眺めているような視点が絶妙だ。そして共通する「いかがわしさ」「気持ち悪い感じ」がたまらない。その音楽は脳細胞に直接届いているような気さえする。
先日ソロプロジェクト「核P-MODEL」名義でアルバム「回=回」が出た。ライブはユーチューブで配信された。
平沢進は荒い配信画像の中にいた。ほんとにいるんだ。
平沢進はJASRACと距離を置いているせいか一般的な知名度は低い。筒井康隆の「パプリカ」を読んでいなければ、一生知らずにいただろう。
40代も半ばにさしかかり、こんな出会いがあるとは思わなかった。