漫画「ワンピース」の人気キャラである「サンジ」は咥えタバコがトレードマークである。料理人のくせにタバコを吸ったらダメなんだが。「このあらいを作ったのは誰だあっ!」と海原雄山に怒られ栗田ゆう子にどつかれるぞ。
「ワンピース」はアニメにもなり国民的人気を博している。その中で堂々とタバコを吸っているのである。そのまま放送できないので海外版「ワンピース」では細かく修正が入っているらしい。タバコはキャンディーに変えられ、血や暴力の描写は控えめになり、女性キャラの胸の谷間の線も消されるという。
過剰な規制がいいとは思わない。タバコを吸うキャラを見て子供がマネするとしても、その子供の家庭環境の問題である。親がだらしない喫煙者であるとか。子供が「ワンピース」を観て友情に目覚めることはあっても、タバコに目覚めたという話は聞いたことがない。
暴力も同じである。アクション映画を見てそれと同じように暴力を振るう子供がいても、問題はアクション映画ではなく、バカな子供である。
NHK大河ドラマ「いだてん」に「公益社団法人受動喫煙撲滅機構」なる組織が申し入れを行ったという。その内容はドラマ内で喫煙する描写が多いことに抗議し、受動喫煙のシーンは今後出さないこと、お詫びのテロップをいれることである。
この団体がNHKに送った文書が公式サイトで公開されているのだが、なんかメチャクチャである。虚構新聞のネタかなにかのパロディかと思ったら本当らしい。
まず「喫煙シーンがしばしば見受けられ、みな観るたびに閉口し、悲しんでいます」とある。そうですか…。感受性が豊かですね…。
そして、「当時では日常的であったが、現代では職業、身体、民族等への差別などと受けとられる語句・表現は、使用されなくなり、別の表現に置き換えられるようになっています」と自主規制が行われていることを指摘する。
そして「今は国会で受動喫煙防止法が成立したように、喫煙はしても、人にタバコの煙を吸わせてはいけないということが、世界中の常識です」と続く。今は世界の常識かもしれないが、明治時代のドラマである。そのころは「受動喫煙撲滅」なんて非常識である。
そしてこの組織は未成年や非喫煙者がドラマを観て、受動喫煙を容認してしまうと思っているのである。つまり一般人はその程度の判断力もない、バカだと思っているのである。こういうのをレイシストというのだろう。
そしてこのような主張を展開する。
「(受動喫煙が)時代を表すためという理由でしたら、前述の差別表現や、当時は多くあった街のゴミ、犬の糞、立小便、はてはハラスメントまで表現しなければ、釣り合いが取れません。しかし、それらの表現はなくても、ドラマは成立するはずです」
ちなみに、「いだてん」では「立小便」と「ハラスメント」はすでに表現されているのだが…。執筆者はドラマを観ていないと思う。NHKは「街のゴミ」と「犬の糞」を画面に写すがいい。そして喫煙シーンも「時代を表すため」必要と主張すれば認められるはずだ。たまには応援する。NHK負けるな。