俳優の阿部サダヲがPCR検査で陽性であったことを公表した。
東急文化村シアターコクーンで上演予定の芝居の稽古中である。稽古は中断した。
初日まではまだ時間があるので上演は可能かもしれないが、中心俳優の離脱は大変なダメージである。
演劇業界ではスタッフキャスト全員が定期的にPCR検査をうけて陰性であることを証明して興行に望むことが主流になっている。保健所や病院の判断ではなく、「陰性証明」のための検査なので当然保険はきかず自腹である。多額の費用がかかり、1人でも陽性となったら公演に甚大な影響が出る。
もちろんPCR検査の有用性を否定するものではない。基本的には発症者の陽性確定に使用するべきである。そして出国や入国の際の陰性証明として活用するなら分かる。ある程度の確率でどちらの国で罹患したのかは分かるからである。
しかし、ある程度の期間の陰性証明のためのPCR検査は不適当であることは一般に理解され浸透してきたところである。
PCR検査を抑制的に使用してきたことが日本のコロナ対策の要諦であり、それが功を奏したことは認めなければいけないだろう。結果論であってもだ。
当初PCR検査による陰性証明の拡充を声高に主張してきたのはメディアである。
朝から晩まで「PCR検査をしろ」寝てもさめても「PCR検査をしろ」と騒ぎ続けた。それに懐疑的な専門家の意見もあったがかき消された。村上春樹の小説に「正しいニュースは小さな声で語られる」と一節があったがまったく正しい。
メディアがPCR推進でスクラムを組んだのはそれが安倍政権への批判に繋げられることが大きい。演劇業界もそれに乗っかってしまった。
演劇人は安倍政権に対してアレルギーに近い嫌悪感を持っている人が多い。菅政権も安倍政権を継承する立場なので同じ敵である。演劇業界は安保法制、共謀罪と安倍政権の政策に反対し抗議運動をしてきた政治的団体なのだ。
特に新劇は共産党とつながりが深い。「安保法制と安倍政権の暴走に抗議する演劇人・舞台表現者の会」なるものを組織し、駅前でプラカード持って「サイレントスタンディング」なる抗議行動もしていた。正直言って気持ち悪い。やるなら演劇で戦えよと思う。
小劇場などはノンポリが多く、少数だが保守的な思想をもつ劇団もある。そういう勢力は左翼演劇人からは邪道とされ、意見が汲み取られることはない。全く気の毒である。
反安倍というビョーキに取り付かれた結果としてPCR陰性証明ビジネスに協力しているとすればまったく自業自得である。