藤子不二雄のアニメに登場するガキ大将にはみんな渾名が付いている。
ドラえもんは「ジャイアン」、オバケのQ太郎は「ゴジラ」、キテレツ大百科は「ブタゴリラ」。
それにしてもブタゴリラはすごい名前だ。ブタゴリラの本名は熊田薫で、父の名は熊八、母は小百合。子供には良い名をと望む親の希望で付けられたのだが、本人が嫌がり、自らブタゴリラと呼べとクラスメイトに強要していたのだ。それにしてもなぜブタゴリラなのか。しかも自ら。
ジャイアンの本名は剛田武である。妹の名はジャイ子である。親もジャイ子と呼んでいるので本名もジャイ子なのか?
ジャイ子の本名は公表されていない。本名を付けると同じ名前の子がいじめられるかもしれないと公表されなかったという説があるが、どうも後付けっぽい。どっちみち全国のジャイ子さんがいじめられていたかもしれないからだ。単に本名の設定忘れたんでしょ。藤子先生。
今、「あだ名」を禁止し苗字に「さん付け」して友達を呼ぶことをルールにしている小学校があるという。あだ名や名前を呼び捨てにすることがいじめにつながる可能性があるからしい。ちょっとした会話がパワハラとなる現在、いじめの定義も広がってきたのだろう。
小学校のころクラスに色白のかわいい女子がいて、その子のあだ名は「白ブタ」であった。理由は色白だからである。これはいじめである。名前は忘れてしまった。
白ブタさん元気にしているだろうか。ひどいあだ名に負けずに立派な大人になっただろうか。
その一方で害のないあだ名もある。程度の問題であるが、そういうコミュニケーションが、子供を強くするということもあるだろう。大人になったらもっと酷い現実とぶつからなければならない。
犯罪的な「いじめ」と子供らしいコミュニケーションとの境界を見極めることを大人がやっていければ「一律で禁止」にしなくてもいいのではないか。
ドラえもんのヒロインしずかちゃんは友達を名前に「さん付け」で呼ぶ。のび太さん、スネオさん、そしてジャイアンのことは「武さん」と呼び、育ちの良さを感じさせる。そういう人は少数だから輝くのである。
みんながみんな、しずかちゃんになっちゃったら、ちょっと気持ち悪い。それこそ多様性を否定する全体主義じゃない?