買うか買わないか悩んでいた大江千里のシングルコレクションを購入した。
2枚組の「Senri Oe SIngles~First Decade~」である。
Disc-1が1983年から1987年、Disc-2が1988年から1992年のシングル曲を収録しており、大江千里のポップな魅力が満載である。
以外だったのはシングルB面だった「mollion kiss」が入っていることで、この曲はアルバムに入っていないのでうれしい。
ひとつ不満なのは「Man on the earth」が入っていないことである。オリジナルの12インチシングル盤は聞いたことがないのである。後にベストアルバムに収録されたものはアレンジが直されているのである。うーんなぜですかね。
高校大学時代の僕は青臭くてアホで未熟であった。
そんな当時の僕に「少し大人の視点」を与えてくれたのだ大江千里の歌の世界である。
一般的には大江千里は甘いラブソングのイメージがあると思われるが、恋愛を通して俯瞰で社会を観察している「少し大人びた感覚」を提供してくれたのだなと思う。「少しでいいから背伸びして社会を見るといいよ」と言われた感じ。
1990年発売の「APOLLO」をあらためて聴く。しみじみいい曲である。
前年の1998年にベルリンの壁が崩壊、ソビエトではゴルバチョフが書記長になった。東欧革命が起き、その後ソビエトは崩壊する。
「APOLLO」が発売された1990年頃は「何かが変わり始めた時代」なのである。
「誰かが握手をしている 何かが変わり始める あたりまえの未来を あたりまえに叶えたい」
歌詞には未来への希望が託されている。彼女とケンカをしようが、つまらない日々に忙殺されようが未来は明るい。
そして大江千里が歌った「あたりまえの未来」は来たのだろうか。
その後バブルは崩壊し、大震災、オウム事件、現在ではコロナ渦、ウクライナ戦争、社会を覆う「閉塞感」。「あたりまえの未来」は叶わなかったようだ。
現在大江千里はジャズミュージシャンとしてNYで活動してる。すさまじい苦労をして長年の夢を実現したかたちだ。そのジャズへの道は大江千里にとっては「あたりまえの未来」だったのだろうな。
もちろん、あの時代に考えた「あたりまえの未来」を現在どう感じるかなんて、十人十色でいい。
懲りずに過去記事を貼り付け。