つとにメジャーは衰退していると感じる。
オオタニさんしかニュースにならない米国の野球の話ではない。いわゆる大手という意味での「メジャー」である。
いしいひさいちの「ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ」に感銘を受けたことは以前書いた。
この緑を基調にした装丁も麗しい本は巨匠いしいひさいちの自費出版なのである。
なので一般の本屋では流通していない。いしいひさいちの公式サイトか、岡山にあるあきづ文庫のサイトから注文するのである。
僕もネットの評判を聞きかじり、あきづ文庫に注文、初版分はあっという間に売り切れていたが、幸運にもキャンセルが出たとのことですぐに届いた。
書評サイトなどでも評価が高く、映像化を目論む輩が現れてもおかしくないこの本がなぜ自費出版という形で世に出たのかは分からない。
だいぶ前からインターネットのせいで本が売れないといわれてきた。売れているのはごく一部の漫画くらいで、電子書籍への転換も進んでいる。かつてメジャーであった出版業界、特に上野本を扱う分野の衰退は止まらない。新聞ですらすごい勢いで部数を減らしている。
対していしいひさいちというビッグネームが自費出版というマイナーな手段で「ROCA」を生み出したことは皮肉というか痛快でもある。
面白いものを作れば、マイナーでも十分戦えることを示した訳で、若いクリエーターにも良い刺激を与えるだろう。
出版や音楽など「著作権」が絡む業界はメジャーである大手が仕切っていて、クリエーターはそのシステムに組み込まれてしまう。そのブラックボックスの中は自由もないし中抜きもあろう。
マイナーのほうが小規模でも効率よく自由に活動できる時代が来て、メジャーはどんどん廃れてゆく。ますますニッチな個の時代になるのである。