射手座の魂

はばかりながら はばかる 虚言・妄言・独り言を少々たしなみます

演劇ハラスメント問題 国葬にケチつけてる場合か

舞台演出家の宮本亞門が安倍元総理国葬の招待状が届いたとツイッターで報告し、「どうしてこれが僕に?」と呟いた。そして国葬反対のハッシュタグをつけて「もちろん私は行きませんが」と書き込んだ。

2018年に「ジャポニズム2018」という文化芸術イベントが開催されている。日本とフランスが連携し日本文化を紹介する大規模なイベントであった。

今でもあるホームページには当時の安倍晋三内閣総理大臣、フランスのマクロン大統領もメッセージを寄せている熱の入れよう。そこで宮本亞門はヴェルサイユ宮殿オペラ劇場で能「YUGEN 幽玄」を上演している。上演後は安倍総理も駆けつけており記念撮影をしている。

宮本亞門は安倍総理とも面識もあるし国葬に呼ばれる理由は十分にあるわけで、国葬に対する子供じみた対応は愚かだ。それが演劇人であるがゆえ仕方のない左派に向けたアピールであったとしても。

推して知るべしだが演劇業界は国葬反対である。なかには文化庁から補助金を受け活動に充てている劇団も多いし、格安で使える公共ホールなどは行政の尽力で運営されているところが多い。国がなければ演劇業界も立ち行かない。
もちろん思想信条は自由であるけれども、その文化行政の長であった総理大臣の国葬に最低限の礼儀すら欠くというのはあまりにも見苦しい。

演劇業界は新型コロナをめぐり大物の発言が批判され評判をおとした。
そして今、国葬問題でも同様である。しかし演劇業界の中から平田オリザや野田秀樹や宮本亞門を批判する声は全く聞こえない。彼ら下位の業界人からすれば彼らはまるで天皇である。演劇業界内は言論の自由はなくそして業界内のヒエラルキーは絶対なのだ。

当然この悪しきカーストは演劇を志す上での宿命と化し、常態化した演劇業界のハラスメント問題に直結してくる。

ある劇団で演出家からのハラスメントで若い俳優が自死した。その劇団の元俳優がその演出家のハラスメントを訴える文章をネット上で発表し話題になった。しかし関連のない演劇関係者からの反応は薄い。というか完全スルーといってよい。

演劇業界は読売巨チン軍坂本選手のスキャンダルに沈黙を守るプロ野球とよく似ている。文化や芸術などと掲げていることはご立派だが、実態は昭和の体育会系的組織であり、あきれることにそのアイデンティティを良しとしている輩に支配されているのだ。

宮本亞門は国葬にケチをつけている場合ではない。その足元の演劇業界ではハラスメント問題という火が燻っている。担がれた神輿の上からでは見えないか。