製パン大手の敷島製パンのコオロギパウダー入りのパンとお菓子が物議を醸している。
安全性に対する疑問など冷静な意見もあるが、中には誹謗中傷や陰謀論的な意見も散見され、敷島製パンは風評被害に対し法的措置も辞さないとしている。
どうも根底には昆虫食に対する嫌悪があるようだ。昆虫を食するのは未開で貧しい国や民族という印象もあるだろう。
日本でも伝統的にハチのこ(ハチの幼虫)、イナゴ、ザザムシ、カイコなどを食する文化が地方に存在する。そういった地方の昆虫食ファンは複雑な気持ちだろう。
対して今食材として堂々と流通している生物はどうか。
たとえば蟹。
なんとも恐ろしい形をしている。特に高足ガニなんか巨大にしたらモンスターである。スターシップトゥルーパーズに出てきた敵みたいである。もし蟹を知らない民族が生きた蟹を捕獲しても恐ろしくて絶対に食べないだろう。こんな恐ろしい怪物をありがたがって食べているのである。しかも無口で。
たとえば魚。
手足もなく長い頭だけの生物が群れをなし海中を飛び回っているのである。しかも大量に。視察に来た宇宙人がその光景を見たらあまりのキモさとシュールさに腰をぬかす。彼らはそんなもの食べようとすら思わないだろう。それを日本人は生きたまま切り刻んで生で食うのである。なんと恐ろしい。美味しいけど。
たとえばウーパールーパー。
から揚げにすると美味いらしい。
一歩違っていればその常識は非常識かもしれないし、すでに人間はなんだかよく分からない生物を食べ続けているのだから、いまさら昆虫食はけしからんというのは心が狭い。
昆虫食に対する偏見は捨てるべきである。ついでにウーパールーパーへの偏見も。
とはいえ僕は昆虫食は遠慮させていただければと思うのであります。