射手座のひとりごと

はばかりながら はばかる 虚言・妄言・独り言を少々たしなみます

アマプラ「沈黙の艦隊」感想 抑止力としての核兵器

Amazonプライムドラマ「沈黙の艦隊」を観た。原作は1988年に連載が開始された、かわぐちかいじの漫画である。榎本俊二目当てで当時モーニングを購読していたので「沈黙の艦隊」も読んでいる。

この漫画、前半はとてつもなく面白い。後半は少々グダグダである。現代のイージス艦が第二次世界大戦時の太平洋にタイムスリップする「ジパング」も同様に後半はグダグダである。

「沈黙の艦隊」では連載中にソビエトの崩壊があり東西冷戦が終結してしまった。それでプランが狂ったのか、後半は、主人公である海江田四郎がキリストよろしく冗長で思わせぶりな台詞を連発し、ついて行けなかった覚えがある。

いずれにせよ米国議会でも取り上げられたこともある、とてつもないスケールの大名作漫画である。

核兵器を搭載している可能性がある原子力潜水艦が独立を宣言し、国家として世界平和のために行動する。「核による抑止力」がテーマである。

80年代はバブルに浮かれたイケイケな印象があるが、その反面核兵器の恐怖に怯えた時代でもあった。人類は地球を何回も破滅させられる数の核兵器を手にし、地球は危機に瀕していると信じられていた。

漫画「沈黙の艦隊」はそういう時代を写した必然ともいえる作品であったのだと思う。

そして今回、アマゾンによって「沈黙の艦隊」は映画化、ドラマ化が始まった。

細かいことを言うと漫画同様にツッコミどころはたくさんあるが、クオリティは民放のドラマの比ではない。適度に抑制された演技も良い。

はじめは、なぜ今更 「沈黙の艦隊」と思った。

しかし東西冷戦が集結し時代の転換期となった当時より、今の方が「核の抑止力」というテーマがよりはっきりするだろう。

ロシアもイスラエルも「核の抑止力」を有効に活用しているからである。それも使用することなくである。 

「沈黙の艦隊」は連載開始から30年以上を経て、最先端の作品になってしまったのである。