朝の乗り換え駅で駅員のアナウンスが響き渡った。
「ホームドアからの離れてください!」
3回繰り返された。1回目より2回目、2回目より3回目と強い口調になってゆく。見ていないが少々タチの悪い乗客がいたのだろう。朝は朝帰りの酔っ払いが多い駅ではある。
数年前ならもっと穏やかな口調でアナウンスしていたと思う。最近は駅員に対する暴力やカスハラが問題になってきたし、文化の違う外国人も増えたわけで、鉄道会社も態度を変えてきたようだ。
長いこと「お客様は神様です」という価値観がサービスを提供する側を縛り、無駄なリソースを消費してきたと思う。
ダメなものはダメというのは正しいのだから、それをあらためるのは良い傾向である。
電車に駆け込み乗車する人がいると注意のアナウンスが車内に流れる。駆け込み乗車は注意する程度ではなくならないだろう。いっそドアの内側をギザギザに加工して挟まれたらタダじゃすまないようにしたらどうだろう。ダメなものはダメだのだから。
「お客様は神様です」という言葉は三波春夫が、客を神様だと思って神様に奉納するつもりで歌う、といったのが始まりであるらしい。
この言葉が誤解され広まり、お客様が一方的に偉くなってしまった。
その結果、材料費や人件費が上がっても価格に転嫁できない原因の一つになってさえいるし。税制や経済政策にも影響を与えるようにさえなった。すべて三波春夫が悪いのだ。いや悪くない。
認識を改めよう。お客様は神様ではないから過剰に甘やかすす必要はない。適正価格であれば提供する側とされる側は対等であるのだから。