射手座のひとりごと

はばかりながら はばかる 虚言・妄言・独り言を少々たしなみます

ETV特集 「チェーサーが終わる日 ~在日コリアン 世代を越える葛藤~」について

今年の夏はあまりに暑く、常に夏バテ気味。録画したテレビ番組を見るのも億劫であった。そして涼しくなった(とういうか寒い)今、取りためた番組を見まくっている。

ETV特集 「チェーサーが終わる日 ~在日コリアン 世代を越える葛藤~」を見た。
通称チェイサーと呼ばれる大阪朝鮮第四初級学校が統廃合により閉校になる。関係者や生徒に取材しその終わりの日々を伝えるものである。

一昔前は在日朝鮮人韓国人について語るとき、従軍慰安婦や戦時中の強制徴用、そして日本人の彼らに対する差別問題と絡められ、政治信条なども巻き込み論争になったものである。今もそういう問題はあるはあるが声高に叫ばれることも少なくなった。これは安倍政権が従軍に慰安婦問題や戦後保証問題を実質的に解決したことが大きく影響しているのだろう。番組も学校が閉校するまでの日々や関係者の葛藤を淡々と描写するのみである。

出てくる朝鮮学校の先生や生徒は当然日本人と見た目も言葉も変わらない。
教室にも北朝鮮指導者の肖像はない。1世、2世はまだ朝鮮に誇りを持ち日本人とお互いに壁があるかもしれないが、今後も日本で暮らしてゆけば、5世、6世となるにつれ物の考え方も含め、日本人と温和に同化してゆくだろう。それは彼らが決めることである。

母校がなくなったらさびしい、その感情は国を問わず共通のものである。建設資金を自分達で捻出し自分達で運営してきたとなればなおさらである。本国や関連団体からの支援もあったかもしれないが。

番組で気になったのはタイトルにもある「在日コリアン」という名称である。

朝鮮学校は北朝鮮を支持する在日本朝鮮人総聯合会、いわゆる朝鮮総聯の指導の元に運営されている各種学校である。番組の中でも出てくる人は自らを「朝鮮人」、学校も「朝鮮学校」と呼称している。つまり朝鮮学校は北朝鮮人のための学校である。「コリアン」と言う言葉は使っていない。

コリアは英語は朝鮮半島全体のことなので、北朝鮮と韓国をあわせた呼名であり、朝鮮学校関係者を「在日コリアン」と呼ぶのは適切ではない。「朝鮮人」「北朝鮮人」と呼ばなければ失礼ではないか。

昔読んだ姜尚中の著作によれば、姜尚中が大学を卒業するとき韓国の民潭、北朝鮮の総聯それぞれからスカウトがきてどちらに加わるか選ばされたと言う。民潭を選べば「在日韓国人」となり総聯を選べば「在日朝鮮人」となるという。それほどにはいい加減であるので、名称にこだわる必要もないのかもしれないが。

番組とは関係ないが「ハングル」の使い方もおかしいことがある。ハングルは文字の名称なので「ひらがな」と同じである。日本語のことを「ひらがな語」とはいわないように「ハングル語」もヘンである。朝鮮語か韓国語というべきである。

時代は変わり、日本軍による強制連行は神話であったとする考え方が主流である。
蛇足かもしれないが、在日朝鮮人韓国人は朝鮮戦争時の済州島の虐殺から逃れてきた人達が多いとされる。そろそろこの辺もつまびらかにしたほうが、日本における共生もうまく行き、お互いにとってメリットがあるのではないかと思う。