射手座の魂

はばかりながら はばかる 虚言・妄言・独り言を少々たしなみます

渋谷駅ダンジョン計画

井の頭線に乗って渋谷へ行った。
改札を出ると右側に岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」が展示されている。長さ30メートル高さ5メートルというからすごい大きさである。核兵器が炸裂する瞬間を描いた禍々しい作品であり隅に第五福竜丸も描かれている。まさに芸術は爆発であり、その前衛的な芸術の前を普通の通勤客が気にも留めずに歩いてゆく光景は異様である。

その向かいは窓が大きく取られ、渋谷のスクランブル交差点を一望できる。
ハロウィンやサッカーの代表戦の際は、喧騒と混乱と不思議な秩序を目の当たりにする。その光景も異様である。

コロナで観光客は激減したがかつては外国人観光客がその空間に佇み、岡本太郎の
壁画の写真を撮り、後ろを向いてはスクランブル交差点の写真を撮る、その間を日本人が何の関心もなく通り過ぎてゆくというオークールジャパンな感じであった。
こういうわけの分からない感じが好きである。

さて渋谷駅は変貌を遂げつつある。埼京線ホームは移動して大変近くなった。東急東横店も閉店し再開発するらしい。まさか便利になろうとしているんじゃないだろうな。

かつて東急東横線が地下化し、ものすごく不便になった。距離も遠くなり、地下は案内版の類が多すぎかえって分からないという状況。しかしその妨害イベントに負けず乗車に成功したときの感動は忘れられない。

不便や分かりにくさは人を活性化する。バリアフリーになれてしまうとちょっとした段差で躓いてしまう。不便な駅がひとつぐらいあってもいいじゃないか。

渋谷駅をダンジョン化せよ。埼京線のホームをまた遠ざけよ。

現在、旧東急東横店は開発中のため、巨大壁画「明日の神話」の下の壁を通してJR方面に行くルートが仮設されている。民衆が「明日の神話」の下に吸い込まれてゆく格好である。実に惜しい。
「明日の神話」のど真ん中に穴を穿ち階段を通し民衆を往来させるのだ。オークールジャパンである。岡本太郎も天国で喜ぶと思う。