空転日記

はばかりながら はばかる

掛け声清掃〜ある中学校の奇習〜

僕が通った中学校には今では信じがたい奇習があった。「掛け声清掃」である。1日2回の清掃の時間、クラスごとに全員で大きな掛け声を発しながら掃除をするのである。声は「いち!に!いち!に!」だったり「せい!そい!せい!そい!」などクラスによって違っていた。全校生徒がやるので掃除の時間は、学校全体が大音響につつまれ、空気の澄んだ冬場は遠く隣の学校まで聞こえたという。

制服は普通の詰襟の学生服とセーラー服だが、校内では男女とも白い作業ズボンに着替えさせられた。その白いスボンの生徒が、みなで大声を出し膝をついて雑巾掛けをする姿は、まるでアメリカ海兵隊か刑務所である。白いズボンを履いているので膝をついて掃除をすると汚れる。その汚れ具合をチェックする先生もいた。

髪型は男子は当然丸刈り、女子は前髪が眉毛にかからないことと長髪は結ぶことであった。しかし3年生の時の担任は受験に向けて気合を入れるためと言って女子全員にショートカットにするよう命じた。今だったらどう受け止められるだろうか。

   

その中学校を卒業し他市の高校に進学したら、ないも同然の校則のゆるさにびっくりし、すぐに慣れ、あっという間にだらしない人間になった。

   

僕が卒業して数年後に中学校では丸刈りの強制もなくなり、近隣住民からの苦情で「掛け声清掃」もなくなったという。

当時のことを思い出すと本当だったのか分からなくなることがある。「掛け声清掃」について人に話しても信じてもらえないからである。