射手座の魂

はばかりながら はばかる 虚言・妄言・独り言を少々たしなみます

インボイス制度のメインターゲットは中小企業

10月1日からインボイス制度が始まる。

フリーランス狙い撃ちの悪法、弱いものいじめ、文化を殺しにかかっている、などと反対派はインボイス制度に対して声をあげたが時すでに遅し。
9月25日には首相官邸前で反対集会が開かれたが、野党と左翼活動家の政治パフォーマンスの場に利用されてしまった。結果、汚染水や特定秘密保護法や戦争法などにまつわる反対運動の定型の中にすっぽり納まってしまい、半年もすれば忘れ去られるだろうイベントになってしまった。

共産党系の反対派は消費税自体がよくないので消費税減税、消費税廃止を訴えていたが、消費税を減らしてしまうと受け取る収入に含まれる消費税相当分もなくなってしまう。収入が減ってもいいと言っているわけで、何を主張したいのか分からない。

免除されていた消費税を正当な対価であると言いたいがために、「益税は存在しない」「預かり金はない」「消費者は消費税を払っていない」と訴えるが、小学生がコンビ二で買い物をしてもレシートに「消費税」の項目がある。ガソリンにも消費税が課税され2重課税だと批判されるではないか。たしかにその金額が直接納税されるわけではないが、消費税相当分を最終消費者が負担しているのは明白である。
「消費者は消費税を負担していない」という論理は、批判される政治家の詭弁と同質のものではないか。

とはいえ今回のインボイス反対運動は政府にとって助け舟になったと思っている。インボイス制度でもっとも影響を受けるのはフリーランスではなく、課税事業者である中小企業だからである。

中小企業は今まで仕入先が免税業者であっても消費税を払ったことにして控除しまくり、節税してきたのである。それがいずれできなくなるのだから影響は大きい。金額でいえばフリーランスが受ける影響の非ではないだろう。

そして10月1日からはじまるインボイス制度だが緩和措置があり、向こう3年間は免税業者との取引でも消費税分8割は控除ができる。しばらくは「なんか騒いでいたけどそんなに変わらないじゃん」状態になることが予想される。

インボイス制度のメインターゲットは中小企業である。免税業者が感情的に騒いでくれたおかげでそちらばかりが注目され、政府はむしろ大助かりだろう。

こんなことになってしまった元凶は最初に消費税を導入するとき、反対を抑えるため課税収入3000万円以下の事業者の消費税を免除したからで、その時点で後々問題になることは分かっていた。おまけに最初は3%だったが今では10%である。本来国庫に入るべき税を免除していいよという脱法的行為はどこかでやめなければならない。

消費税は子供からお年寄りまで一律にはらう公平な税制である。逆進性があるというが、金持ちの方が消費活動は旺盛で支払う消費税は貧乏人より多いのは自明である。それに所得税の累進性が消費税の逆進性を帳消しにするし、各種補助や手当てを考えると日本は貧乏人に優しい国であるといえる。

僕はインボイス制度には賛成である。
消費税は比較的公平だし消費をしたら払うというのは分かりやすい。中途半端な免税制度はやめたほうがすっきりする。インボイス制度をきちんと導入し、消費税は増税し、そのかわり所得税や法人税を減税したほうがいい。所得があったら払うってなんですか。こちらこそ意味不明だ。