射手座の魂

はばかりながら はばかる 虚言・妄言・独り言を少々たしなみます

消費税について考える

インボイス制度が始まって1ヵ月ほど経った。
反対派もすっかり静かになってしまったが、大きく影響が出るのは免税業者との付き合いの多い中小企業であり、とりわけその経理担当者である。あれだけ騒いでいた文化系の免税業者はなにも変わらないじゃないかと肩透かしを食らった感じではないか。もちろんだんだん影響は出てくるのだろう。

インボイス反対派の主張に「消費税自体が悪である」という意見が多く見受けられた。消費税自体を廃止してしまえばインボイス制度も不要であるという論まであった。

もともと消費税は生活に密着しており逆進性もあるとされ、「庶民の敵」となりやすい。野党は消費税減税を訴えるのが常である。

消費税は本当に悪いものなのだろうか。

たとえば累進課税である所得税は高所得者ほど多く払う。その分低所得者は低く設定されており累進性が強すぎる。

かたや自営業者や零細企業の所得税のうち税務署がきちんと補足しているはその半分程度とされている。うまいことやれば所得税を減らすことが出来るし、税務署もきちんと調べたりしない。

相続税もそうである。代替わりで山を売ったとか、家屋を処分しなければならないとか、資産家に厳しい。日本は金持ちに厳しい国なのである。

消費税は子供から高齢者まで誰でも払う(インボイス反対派が主張していた「消費者は消費税を負担していない」という論には組しない)。消費税は所得税や相続税にくらべれば公平な税制である。

そして日本の社会保険制度は高齢者に甘い。

医療費は1割負担なので、昼間の町医者は暇な高齢者のサロンと化している。高齢者の高額医療も支えているのは現役世代の保険料である。

岸田政権が所得税の減税と住民税非課税世帯への給付を計画しているが、住民税非課税の多くが高齢者世帯である。地方では過疎地で暮らす高齢者のために多額の税金がつぎ込まれている。

国民年金を真面目に支払っても支給額は月6万円である。国民年金を1円も払わず生活保護を受ければ月13万円もらえるのである。あまりに歪である。

高齢者にも応分の負担を求めるべきで、そのためには現状では消費税が適切である。高齢者も払う消費税を減税したら、相対的に現役世代の負担が増大する。

なんなら消費税を30%にして社会保険料を見直すべきである。

「消費税は悪である」という安易なポピュリズムは、高齢者を優遇し、現役世代をますます苦境に追い込むことにつながる。