参院選が終了した。自公政権は改選過半数を得て勝利した。長期政権であれば「飽き」がきて支持を失っていくものだし、消費増税を掲げての、この安定感は驚異である。といっても主な原因は野党のふがいなさにあるのだが。
情けない野党のなか唯一気を吐いたのが、山本太郎率いる「れいわ新撰組」である。「消費税廃止」「最低賃金1500円」「奨学金徳政令」などの政策をぶち上げた。財源は国債でまかなうという。
特に注目されたのは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者である舩後靖彦氏(全身麻痺ギタリスト・株式会社アース副社長)や、脳性まひである重度障害者の木村英子氏(全国公的介護保障要求組合書記長)を非礼特定枠の候補者としたことか。「生産性で人の価値をはかっていいのか」ということらしい。たしかに障害者の声を直接国会に届けることには価値はあるだろうが、話題づくりを優先しかつ批判をされにくいやり方ではある。
他の候補者はどんな人たちだったのか。
ホームページより抜粋する。
野原ヨシマサ氏(沖縄創価学会壮年部)
やすとみ歩(東京大学東洋文化研究所教授)
三井よしふみ(元銀行員・元セブンイレブンオーナー 著書「コンビ二オーナーにはなってはいけない」)
はすいけ透(元東京電力社員)
辻村ちひろ(環境保護NGO職員)
大西つねき(元J.P.モルガン銀行資金部為替ディーラー 著書「私が総理大臣ならこうする 日本と世界の新世紀ビジョン」)
渡辺てる子(元派遣労働者・シングルマザー・女性労働問題研究会運営委員・レイバーネット日本運営委員)
まあ左翼活動家的な候補者をそろえたものである。
選挙結果は比例で2人が当選し、山本太郎氏は落選した。障害者の2人がこれから国会でどのような活躍をするのか注目される。
そして今朝のワイドショーに山本太郎氏が出演していた。立て板に水でよくしゃべり頭の回転も速い。役者である。
消費税廃止を掲げているが、もし他の野党との共闘において足並みを揃えなければならないとき妥協するか?と問われ、たとえば5%に減税するというのはありである、と答えていた。これでは旧態依然の野合ではないか。
れいわ新撰組として名を売って山本太郎氏は衆院選に出馬するのだろう。
参院に送り込んだ二人の障害者の議員活動がうまくいかなくても大丈夫である。障害者に理解のない国会やこの国のあり方のせいにすればいいのだ。
若者がれいわ新撰組を熱狂的に支持したとの報道があるが少々疑問である。
反自民だが立憲民主党に代表されるふがいない野党には愛想をつかした有権者の受け皿になったのだろうと思う。れいわ新撰組に投票した有権者の年齢層は高いのではないか。全共闘世代には受け入れやすい候補者の面々でもあるし。
山本太郎氏の「れいわ新撰組」がポピュリズムであるという批判を乗り越えられるか、これから試されるのである。ただ、山本太郎氏が考えているより、一般人は冷静に見ている。氏に好意的なメディアに対してもだ。