「花の雨が降る-ROCAエピソード集」の感想。
まず美しい表紙に魅了される。「エピソード集」なので正確には続編ではない。
前作にあたる「ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ」の感想はこちら。
「花の雨が降る-ROCAエピソード集」は昨年発表された「ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ」の各エピソードの隙間を埋めるように丹念に進む。前作で語られなかったことが答え合わせのようにちりばめられている。
前作の衝撃的であったラストシーンの謎も解けた。最後の大ゴマは印象的である。
柴島商会がどうなったのかも推察できて安心する。どこかおかしみもあり、オチが付いた感じである。吉川ロカのその後の活躍はわからないが、読者が想像すればいい。
この2作をあわせれば「完全版」ができるだろう。映像化して欲しいような、して欲しくないような、複雑な気分である。よい作品に出会えて良かった。
同人誌のようなこの作品の成功は漫画業界にショックを与えているだろう。インターネットを活用すれば広告も低コストで出来、販売だってできる。
大手が取り扱わないインディーズであっても面白い作品は売れるのである。それを証明しているのが大御所いしいひさいちというのは二重の衝撃ではないか。
先日、筒井康隆の新作を買おうと本屋に行ったが売っていなかった。そこそこ大きな本屋である。もう本屋という業態は限界だと感じた。