射手座の魂

はばかりながら はばかる 虚言・妄言・独り言を少々たしなみます

ウクライナ侵攻 「プーチンが悪い」だけでいいのか

ロシア軍のウクライナ侵攻が始まり戦争となった。

アメリカがインテリジェンス情報を公開してロシア軍の動きを予測していたが、ほぼその通りになった。

「専門家」達は、ロシアにとってはウクライナに侵攻する理由がなく「戦争にはならない」と言っており、アメリカの態度を単なる挑発と見る向きもあった。

素人として僕もアメリカとロシアがお互い挑発し合っているだけで大規模な軍事行動にはならないと思っていたわけだが。

2月24日の早朝にロシア軍は電光石火の勢いでウクライナ軍の拠点や空港に攻撃を加えた。そして首都キエフで市外戦がはじまったと報道されている。

僕はロシアは嫌いである。プーチンも嫌いである。
じゃあアメリカが好きなのかと問われても困ってしまう。アメリカも好きではないが、現在日本にとってアメリカは友好的な同盟国であり、かつ世界一の軍事大国である。
ロシアに付くかアメリカに付くかといえばアメリカに決まっている。

報道では、ロシアのあちこちで戦争反対を訴えるデモがおき、ロシア当局が大勢を検挙しているという。こんなことがあってもロシア人を差別してはならないとコメンテーターは言う。
「悪いのはプーチンである」「プーチンは狂っている」SNSではこういう言葉が飛び交う。欧米はプーチン個人への制裁を行うと発表した。

国家間の戦争なのに指導者個人の責任のみを問うことがあっていいのか?
確かにロシアの独裁的な体制下でプーチンは圧倒的権力をもっているだろう。しかし政策や戦略をアドバイスする文官や軍人だっているだろうし、なにしろロシアは大国である。プーチンのみに責任を負わすのは違和感があるが、東京裁判もそうだったし、湾岸戦争もそうだった。

かたやウクライナでは大統領が国民に武装を促し男性は国内にとどまるよう指示をした。あらゆる戦争に反対する平和主義者はウクライナを批判するべきだ。戦いをやめ降伏せよと。しかしその声はなく「プーチンが悪い」というのみである。

今回の戦争はほとんどの情報がSNSから発信されている。既存の報道各社はネットでネタを探すのに忙しそうだ。
ロシア軍の攻撃らしい映像、市街地を飛ぶ爆撃機らしい映像、避難するウクライナ市民とみられる映像。中には明らかなフェイク情報もあるようだが、この熱狂では情報の真贋は問われない。

こういうときはあらゆる情報をすぐに信じないようにしている。判断をいったん保留し、傍観者となるのだ。

国連と空想的平和主義が機能不全に陥っている。
国際連合は「United Nations」の訳である。第二次大戦の「連合国」も「United Nations」なので、国際連合は「連合国同盟」と呼称するのがふさわしいと思う。第二次大戦の戦勝国の同盟なのだから。
国連安保理でロシアに対する非難決議は否決された。ロシアが常任理事国なのだからしかたがない。NATOもアメリカも軍事作戦には消極的であり、ウクライナは見捨てられつつある。

そしてタイムラインを埋めつくす、平和を訴えるテキストもむなしく更新されるのみである。空想的平和主義と現実との乖離は明白である。

日本周辺においても台湾や北方領土や沖縄などで同様の問題が起きてもおかしくない。一気に戦後レジームの見直しが進み、改憲議論にも大きな影響があるだろう。