射手座のひとりごと

はばかりながら はばかる 虚言・妄言・独り言を少々たしなみます

鬼滅の刃 モノローグが多すぎて親切すぎ

子供から大人まで大流行している「鬼滅の刃」のアニメ版作品の総集編が放送された。人食い鬼に家族を惨殺された主人公・炭治朗が妹を人間に戻すため、鬼を討つため旅に出るというストーリー。王道の少年漫画である。鬼のキャラクターなどは猟奇的で、首が飛んだり、血が噴出したりなかなかグロい表現もあるのに、小さな子供にも人気なのである。

観てびっくりしたのは主人公のモノローグが多いのである。すごく多いのである。
状況から心の内の葛藤まで説明しまくるのである。今そんなこと考えている場合じゃないでしょという局面ですごく冷静に考え事をしているのである。漫画原作も同様で説明が多い。

ここまでモノローグを多用して説明してるので、見終わった感想は「ひとつも分からないことがない!」である。考えなくても見ていられるので楽ではある。

どうしても昔の漫画と比較してしまう。おっさんでスマン。

あだち充の「タッチ」は登場人物の内面の声はあまり出てこない。そもそも台詞も少ない。緻密に書き込まれた背景に対し、キャラクターの造形は記号的で表情も豊かではなく、その心情は、ストーリーやシチュエーションから推察するしかない。
物語の終盤上杉達也率いる明青学園は甲子園優勝を果たすのだが、それが分かるのは、ラストのコマで優勝記念の皿が描かれているからである。それ以外の説明は一切ない。そして野球部の全員のメンバーの名前が確認できるのもこのコマだけである。
恐ろしいくらい説明がない。その空白を読者が埋めて作品が完成するという、ある意味では贅沢な漫画である。

鬼滅の刃が流行しているのは、無駄のない分かりやすさにあり、残念ならがそういうものはすぐに忘れ去られるだろうと思う。