日本の学校の制服は高価である。制服を2シーズン分、上履き、運動靴、体操服、ジャージ、カバン類など1式揃えると7万円くらいかかった記憶がある。公立中学校である。私立ならさらなる出費を強いられるのだろう。品質はよくても選択の自由はない。
娘が卒業したら同級生のママ友が家に来て、ハイエナのごとく制服やら体操服などを、ごっそり持っていった。数年後に下の子が同じ中学に入るのでお下がりをあげたわけだ。
制服や体操服は名前の刺繍が入っているし、学年ごとに色が微妙に違うのだが、今の子供たちはあまり気にしない。むしろ先輩の名前の刺繍が入っていたりすると、ある種のステイタスにもなるという。先輩に知り合いがいると縦のつながりをアピールできるし、画一化された世界で、わずかではあるが個性を主張できるのかもしれない。
制服類を買うのは指定の店である。その地域の数校分の商品を扱っているので、3月ともなると大賑わいである。なにしろみんなそこで買うのだから。
下衆の勘繰りをひとつ。学校の制服を指定しているのは、その地域の教育委員会であるので、制服の製造販売業者に対して生殺与奪の権を握っているわけだ。メーカーやデザインの選定などはほとんどブラックボックスである。これ絶対×××とか×××とかしてるよね。どうりで商品が高いわけだよ。すいません。下衆なので。
さて、さいたま市の市立高校で制服にユニクロ製品を採用を検討しているという。価格は3分の1程度に抑えられる見込み。既存の制服も併用するため、選択肢が増えたということである。スカートやニットなどは複数のカラーが用意される。ホームクリーニングも出来るだろうし金額的にも親はうれしいだろう。
ただ、そこまでして「制服」を維持する必要はあるのだろうかとも思う。
最近ジェンダーの観点から制服の男女差問題が話題になる。
男子はスラックス、女子はスカートという様式に疑問が投げかけられ、女子でもスラックスを選択できるようになってきている。
男子のスカートに関して触れない暗黙の雰囲気があるのが面白い。当然スカートがいいという男子が出てきたら拒むことはできないだろう。
なんと言おうが、男子のスカートは「やっぱり変態オーラ出ちゃうよね」ってみんな思っているんだよ。問題発言おわびします。
個性を重視したところで「制服」である以上強制に他ならない。だって制服だもの。女子がスラックスを選べるとしても、単線か複線かの違いでしかなく、敷かれたレールを走らなければならないことに変わりはない。
制服の意義と必要性は否定しないが、個性重視原理主義ならいっそ制服なんて廃止してしまえばいいのである。
私服になってしまえば、男子のスカート姿もコーディネイトしだいで変態オーラは軽減できるし、女子が男の格好をしていてもなんの違和感もない。ただ「個性」はなんでもない自然なものになってしまう。
「制服」を廃止できないのは、業者や教育委員会の都合もあるだろうが、みんな「型にはめられたい」という願望があるからだと思う。
そして皮肉なことに、同じ制服を着てるからこそ滲みだす個性は出現しやすいのである。