2023年10月1日から開始されるインボイス制度(適格請求書等保存方式)であるが、巷では全く話題になっていない。統一教会と国葬の話題に占拠されインボイス?はてなんでしょうな?というのが一般的な感覚ではないか。このブログでは無謀にもインボイス制度の解説を試みたことがある。試みただけである。
マスコミがほとんど報じないのは訳があって、大手のテレビ局などはだいぶ前から個人事業主との取引をやめているのだ。テレビ業界などで働いていたフリーランスは仕事を受注するため会社を作ったり形だけ会社に籍を置いたりしている。マスコミはとっくにフリーランスを切り捨てた格好であり、インボイスへの対応は済んでいるといえる。したがってメディアはインボイス問題を取り上げない。いざインボイス制度が実施されフリーランスが苦境に陥ったとき、初めてニュースバリューが生まれるのだ。マスコミは人の不幸で飯を食うものだから。
マスコミが冷淡なため、反対派はツイッターなどのSNSに不満を書き込むしかない。そのせいで反対派の不勉強が目立ちデマが流布されたりしている。
制度が始まるとすぐに売上の1割を持っていかれるというが、課税事業者になっても仕入額控除があり納めるのは控除後の金額であることには触れない。
6年間の経過措置がありその間は、課税業者以外からの仕入れも一定額控除できるのだが、それにも触れない。
そして1番あきれるのは公表サイトで登録事業者の個人情報がダダ漏れになるという風説である。インボイス発行事業者になると登録番号と名前が公表される。その他ペンネームや屋号、住所などは希望しなければ公表されない。
ペンネームで活動している漫画家の本名がバレるというが、番号と名前だけで「これはあの漫画家の本名だ」などと分かるはずがない。
公表サイトは取引先の適格請求書に問題がないか調べるためのものであって、スムーズな取引のためには必要であり、目くじら立てるようなものではない。
反対派は制度が分かりにくいというが、そもそも理解する気がないように見える。これでは民意は味方にならないしSNSで愚痴ってもなんにもならない。
まずは取引先と金額交渉をすべきだ。そのうえで課税事業者になるか決めればいい。フランスでインボイス制度が導入されたとき多くのフリーランスは登録事業者にはならなかったという。同業者同士で結託してみたらどうか。まあ外国のようにユニオンを作る必要が出てくるだろう。それがいやなら1人で戦う覚悟をもつべきだ。
インボイス制度は弱いもの虐めであると階級闘争に持ち込んでも、消費税ごと廃止しろと叫んでも、残念ながら野党議員や反体制運動体の燃料として利用されるだけである。
党派性を押し出した反対運動は成功しないので攻め方に工夫が必要である。